静電誘導ダイオード(SI-Diode)
インバータに代表される電力変換装置の高効率化、小型化、低雑音化の要求が高まると共に、SIサイリスタ(SIThy)などのスイッチングデバイスの大容量化、高速化が進められています。これと同時にSIThyなどの高速でターンオン可能なスイッチング素子と相補的に用いることのできる高速ターンオフが可能な高効率ダイオードが求められています。このような社会的ニーズの下、静電誘導ダイオードは1977年に西澤所長によって発明されました。静電誘導ダイオードは低電圧から高電圧領域にまで、現在開発されている最も優れた電力用ダイオードです。
静電誘導ダイオードは下図のようにSITのゲートとソースを短絡した構造になっており、静電誘導効果を利用することにより高い耐圧を得ることが可能です。アノードの構造としては表面型と写真に示すゲート部を切り込んだリセス型が提案され、研究が進められています。また、4500Vの高耐圧素子として逆回復特性をさらに改良した静電誘導エミッタダイオード(SIED)はすでに実用化されています。
静電誘導ダイオードの特性