(昭和36年5月24日設立許可)


 基礎電子工学なかんずくトランジスタ、ダイオード、マイクロエレクトロニクスなど、いわゆる半導体に関する学術研究は、近年、驚異的な進歩を遂げ、その応用分野の拡大と進展は、数年後の予測を許さないような状況に立ちいたっております。
 このような状況のもとにおいて、わが国におけるこの分野の研究体制を、さらに一段と拡大強化せしめることは、焦眉の急務となっております。たまたま、わが国においては、渡辺寧東北大学名誉教授が、多年にわたり半導体工学とこれに関連する基礎電子工学の研究を行ない、多くの学術的業績と独創的な特許とを残しており、その研究基盤は十分に確立されております。しかしながら、このような進歩が早く、かつ、経済的な発展性の大きい分野の研究は、大学等国公立研究機関で行なうとともに、わが国科学振興の立場からの強い要請で急激にこれらの研究体制の充実・拡張を図る必要に迫られたときに、その要望に即座に答え得る公共的性格を有する研究機関が存在して、機動的な研究を行なうのでなければ、この分野の研究を、さらに大きく発展させることは望み得べくもなく、その結果は、世界各国に立ち遅れるという悲しむべき事態招来の恐れなしと断言できません。従って、わが国としては、すみやかになんらかの措置を講ずる必要に迫られていると申せましょう。

 
幸にも、このたび、東北大学関係者および産業界の協力を得て、前述の渡辺博士の学術的業績ならびに独創的な特許とを基盤として、半導体工学とこれに関連する基礎電子工学に関する研究、とくに独創的な研究を育成発展させ、もってわが国の学術・文化の向上に寄与することを目的とした、財団法人半導体研究振興会を設立することになりました。
 財団法人半導体研究振興会は、みずから研究を進めるとともに産業界からの研究も受託し、また大学・研究機関等および研究者の独創的な研究を助成し、さらに有為な研究者・技術者の養成とその養成の援助を行ない、あるいは特許の取得と、取得した特許の維持確保につとめ、学界と産業界の知識の交流の場となり、産業界の少壮研究者・技術者の再教育の機関として、産業界の要望にも答え、もって上記の目的を達成しようとするものであります。
 以上が、財団法人半導体研究振興会設立の趣旨であります。